zakkiput

学際系院生が考えたこととか日々の出来事を雑にアウトプットするブログ

ネガティブな出来事を昇華するためのアウトプット

とりあえず作ったけど動かしていなかったブログを動かしたい。

 

ということで、本日は福祉や精神医学で用いられる「喪の仕事」という概念を用いながら、自身の失敗談や苦い思い出を精神的な前身の足掛かりにしていく段階を構造化してみる。

 

1.自分語り

四月から大学院生。脱ニートRTAを約半年のラップタイムで終えた僕は晴れて身分のある身になったわけだが、ここ最近は大学時代や社会人時代の思い出がフラッシュバックしてもにゅつくことが多い。

 

要因としては後輩たちが新卒として働き出して自身より経済的に潤う様子を目の当たりにしていることや友人と元カノの職場が被り何をバラされるかヒヤヒヤしていること、あとは自身の将来が不透明なことなどが挙げられるんだけど、要は物心ついてから常に高めだった自己肯定感がダッチロールを起こしているっぽい。

 

布団で目を閉じる度に過去の苦い思い出がぶり返すから眠気の限界までスマホをいじっていたらもう四時だ。。。みたいな不安定な生活リズムに問題意識を持っていたところ、教員と話していて面白い概念を紹介されたので噛み砕いて解釈しようというのが今回の趣旨。

 

2.喪の仕事

ここでは今回の記事で紹介する「喪の仕事」という言葉と、頻繁に用いられる対象喪失という言葉について説明する。

 

対象喪失

愛や憎しみといった感情の対象を喪失することであるが、ここでいう対象とは有形無形を問わない。

なんで例えば両親を亡くしたりとか、大事な宝物を紛失したり、はたまた彼女にフラれたり、ウンコを漏らして誇りが崩れたとかでも対象喪失は起きる。

 

〇喪の仕事

愛着のある対象を喪失した結果生じる心理過程のこと。フロイトが提唱したらしい。

大まかにいうと対象喪失によるショックから立ち直り、対象に抱いていた愛や憎しみを断念する過程を構造化した概念で、手元にあったケアとか福祉のテキストで探してみると、どうやら以下の七段階に分けられるらしい。

少し変化球ではあるが、ここでは推しキャラのイベント限定SSRを引けなかったG君を例に挙げつつ説明してみたい。

 

 ①予兆期

対象喪失の予兆を感じる時期。G君で言うとイベント限定の推しキャラSSRを狙いたいが正直100%引けるほど予算や無償石のストックがなく一抹の不安がよぎる時期である。

 

②ショック期

初期・急性期の悲哀反応期。G君で言うと最後の石で願いの単発ガチャを回したが推しを引けず、自分は限定SSRを手に入れられない事実を突きつけられた瞬間。

予兆期の存在があってなお、急に大きな衝撃・ストレスがかかるので精神・肉体的にも感覚麻痺が起きるっぽい。

 

③悲嘆期

身体症状と精神症状が顕在化する時期。G君ならTwitterで爆死の旨をツイートに起こしたり、僕で言うと漫〇村が潰れたので暇つぶしにアイシールドの続きが読めないとか、自分の置かれている状況が次第に現実味を帯びて降りかかってくる。

ここでは自分が直面している状況が理不尽に思えて気持ちが不安定になったり、後悔の念に駆られたりと情緒的に不安定になるっぽい。

 

④否認・現実検討期

外的世界の内的世界を生きる時期。所謂ファントムペイン(幻影肢)とか、何もなかったフリして元カノにLINEしてみたりとか、みたいに現実と本人の内的世界が乖離しやすい時期のことを言う。

G君で言うと、もしかしたら見逃してるだけでBOXに楓さんがいないか確認をしてみたり、雑コラを作って「実は引けましたw」みたいなしょうもない嘘ツイートで、推しを引けなかった事実を否認しようとする。

こりゃあ情けないやつのやることだ。と思いたいところだが、心理学的には自我防衛機能がしっかり働いてる証拠なので別に悪いことではないっぽい。どちらかというとこの自我防衛機能を隠そうとして本人が辛い精神状態であるサインを発信できないことが非常にキケンな時期で、逆に落ち着いてる方がヤバいまである。

 

⑤適応・介入期

対象への思慕・理想化・同一化と排除・悔やみと償いをする時期。要は自分の感情と向き合いながら対象喪失の意味について自分なりの解釈を始める時期らしい。

G君を例に流れを表すと、

(1)引けなかった推しに対する悔やみと償いの気持ちに向き合う

(2)一回くらい引けなくても楓さんは自分を嫌いにならない、グッズなど別の方面から応援すればキャラのためになる、待ってれば復刻するなど、自分にとって都合のいいイメージを形成し(理想化)それと同一化することで悲しみを排除しようとする。

(3)償いと理想化という両側面的な感情と向き合いながら、少しずつ対象喪失の事実を自分なりに解釈していく過程。

 

基本的にはこんな感じで(1)と(2)がヤマアラシのジレンマを起こすような時期のようだ。

 

⑥徹底操作期

対象喪失は得てしてネガティブなものであるが、それを自分なりに言語化して噛み砕いていく時期。テキストでは悲哀の物語の書き換え作業と詩的な表現をされていた。

G君で言えば楓さん事件やその後の心理変化を自分なりにまとめて人に説明できるようになってきた段階。

とはいえここでネガティブすぎる物語を構築してしまうと喪の仕事のゴールである断念があまり良い形で終えられないため、あくまでも「自分は許されている」という認識を持って物語化するのが大事らしい。

 

終結

対象喪失の物語の簡潔に向けた意味付けと内容の深化を課題とする時期。ここではネガティブな経験であった対象喪失に対して、自分にとって肯定的な、価値ある出来事だと意味を与えることが求められる。

喪の仕事のゴールは「断念」であるが、この断念が自身にとってネガティブな形で終えるのはあまり良くない。

これでごれい君の出番は最後になるが、楓さんを引けずに大きなショックを受けた彼も推しを引くことがファンの義務ではないし、誰に認められるものでもなく自分が好きでいれば自分は楓さんのファンである。そういう悟りみたいなものを楓さん事件を通して得たのではないかと思う。

喪の仕事のゴールである断念とは単なる諦めではなく、対象喪失を希望の物語に変換することに真髄がある。

 

3.喪の仕事に関する気づき

ざっと説明した「喪の仕事」だけど、自分は今までこれを「合理化」と表現していた。ネガティブな出来事はしっかり構造化して反省点を次に活かせればそれでいいくらいの認識。

ただ振り返ってみると、この合理化は対象喪失をネガティブなままで放置しており、結局のところ頭の中でいつまでもまとわりつき、定期的にフラッシュバックを起こしている。

そういった観点から言うとやっぱり喪の仕事の真髄は最後の「希望の物語化」にあるっぽいなぁ…というのは記事をまとめながらの気づき

 

あと、この喪の仕事ってのは日常的に行われてるんじゃないのっていうのも気づき。そもそも物事は誕生と死がセットになっているのが必然なわけで、コントローラの寿命で買い替えたとかベランダの花が枯れたとか、うんこ漏らして誇りが崩れたとか細かい対象喪失は常にある。

そういった普段気にならない喪の仕事を自分はどのように済ませてきたか、この辺りを振り返って傾向なんかをまとめると未消化の対象喪失案件も案外サクッと昇華できるかもしれない。

 

4.おわりに

すっきりした。

結構便利な概念に出会えたので今後の対人コミュニケーションに活かせるかな。